まだ寒い冬の福岡・久留米近郊で全編オールロケ

まだ寒い冬の福岡・久留米近郊で全編オールロケ

プロダクションノート 2011年3月1日〜22日の約3週間にわたっておこなわれた本作の撮影。ラーメン屋台のドラマということもあり撮影の多くは夜、しかも野外。この季節にしては予想以上に厳しい寒さの中、日吉町、六角堂広場、三本松公園など久留米市街を中心に福岡、大牟田、八女、日田の福岡県各地で撮影は行われた。前半、光が切り盛りする『弾丸ラーメン』の撮影場所となったのは大砲ラーメン・長門石店。また“とんこつラーメン発祥の屋台”として知られる南京千両も実名で登場する。昇の屋台シーンは倉庫内に組まれたセットの他、三本松公園に再現された昭和40年前後の活気ある屋台街でも撮影。実際に営業している屋台10台が持ち込まれ、約500人のエキストラの協力のもと、1日がかりで撮影されたこのシーンには、久留米が選挙区の鳩山邦夫氏もエキストラ参加。「地域の文化や風土を生かした映画がもっと増えてほしい」とエールを贈った。

そして迎えた22日のクランクアップ。この日は、筑後川の河川敷で昇が屋台を燃やすシーン。映画でもストーリー上のクライマックスとなるシーンだ。どんより厚い雲が空を覆う広大な河川敷、現場はいつにない緊張感と神妙な空気に包まれた。屋台は、昇と光それぞれのシーンを通して登場する映画『ラーメン侍』の象徴ともいうべき存在。キャスト・スタッフ一同にとって最も愛着のあるセットで、もちろんスペアは存在しない。その屋台を燃やすのだから当然、演技も撮影も一発勝負。さらに、原作者にとってもひときわ思い入れのあるシーンとあって、この日香月氏は喪服で登場。昇のモデルとも言える先代の遺影も見守る中での撮影となった。

俳優陣のドラマをすべて撮り終え、ついに着火の時が。昇が投げ入れた種火によって最初ゆっくり、しだいに勢いを増して燃え上がる屋台。ゆうに20分以上は燃え続けていただろうか。すべてが灰となり崩れ落ちるまでを、その場にいた全員がただただ無言で見守った。この屋台の葬式は、まさに撮影のフィナーレにふさわしく、映画顔負けのカタルシスに満ちていた。

 

 
「ラーメン侍」製作委員会